休職してから転職活動。退職理由の考え方と具体例をご紹介。

「休職してから転職活動する場合、退職理由ってどうすれば良いの?」

「休職を隠す場合はどんな退職理由にすれば良いんだろう。」

と悩んでいませんか?

こちらの記事では、企業が退職理由を知りたがる理由と、具体的な退職理由の考え方について記載していきます。

退職理由の具体例も最後に載せていますので、そのまま転職活動で使えるようになっています。

私は職場が合わなかったことが原因で体調を崩し6か月休職しました。

結局休職から復帰することなくそのまま退社し、その後転職活動を行っています。

私は休職を隠して転職活動を行ったので、退職理由はすごく悩みました。

私と同じように悩んでいる方の目に留まり、少しでも参考となったら嬉しいです。

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企業から見た退職理由

企業からみた退職理由

まず初めに、企業側から見た退職理由についてご紹介しています。

私は人事で採用担当をしており、中途の面接官も担当したことがあります。

実際に企業側として面接を実施する中で、なぜ退職理由を知る必要があるかご説明していきます。

企業側が退職理由を知りたい訳

企業が退職理由を知りたい理由は一つ。

「採用するからには社員には長く働いてもらいたい為、前職と同じ理由で退職してしまわないか判断するから」です。

その為、企業側に退職理由を伝える時は

・その理由なら退職してもしょうがない

・同じ理由でうちの会社を辞めることはないだろう

と思わせられるような妥当な理由を考えることが重要です。

なぜ企業は退職しない人を選びたがるのか

そもそも、なぜ企業は退職せず長く働いてくれる人を欲しがるのでしょうか。

理由は、新しい人を採用するのにも、教育するのにもお金がかかるからです。

そして、お金をかけ、会社に貢献してくれるよう育てた人材を外に出したがらないのです。

新しい人を1人採用するのに企業にどれ位お金がかかるかと言うと、一般的には低くても20万円、高くて150万円位です。

ハローワークや無料で求人を掲載できる媒体から人を採用できれば費用はかかりませんが、応募者がほぼいない為、大抵の会社では有料の求人媒体を使っています。

リクナビやマイナビなどの求人媒体を使った場合は1回の掲載に付き20万円~。

リクルートエージェントやマイナビエージェントなどの人材紹介サービスを使った場合は1人の採用に付き100万円~150万円程かかります。(採用者の年収の3割を企業が人材紹介会社に支払います)

新しい人を採用した場合、社員教育も必要です。

会社や仕事について教えてもらう座学や、実際に仕事をしながら教えてもらうOJTなど、社員から教育を受ける際にも実はお金がかかっています。

本来別の業務で会社の売上を作る人達の時間を使って教育を受けているので、その人達の時給分教育にお金がかかる、という考え方です。

さらに、外部のサービスを使って教育を受ける場合には受講料がかかります。1人数千円~数万円の費用を会社が負担するので、教育にはお金がかかるのです。

これだけお金をかけた社員には、簡単に辞められては困る、と考えるのは当然ですね。

人が辞めると上記で説明したお金がさらにかかってくるので、企業としては「退職しない人」を採用したいと考える傾向にあります。

休職したことを隠す退職理由

退職理由

企業が退職理由を知りたい訳がわかったところで、実際に退職理由を考えていきます。

退職理由の考え方

退職理由は「他の会社で~をやりたいから退職する」といったポジティブなものを用意するのが一般的です。

なぜなら、「~が嫌だったから退職した」という正直な理由を前面に出してしまうと、「転職先で嫌なことがあったらすぐ辞めるんじゃないか?」と面接官に思われてしまうからです。

なので、退職理由をあまり正直に話すのはおすすめできません。

休職したことを隠して転職活動を行う場合も同じで、「休職して復職できなかったので退職しました」とか、「体調を崩してしまって…」という話はしないように気を付けます。

とは言っても、実際は何かが嫌だったから退職する場合がほとんどですよね。

なので、なんとかポジティブな退職理由をこじつける必要があります。

私がおすすめするのは「ポジティブな退職理由(~がやりたい)」と「ネガティブな退職理由(~が嫌だった)」を両方用意しておくこと。

ポジティブな退職理由だけだと、真実味が出ない為、面接官から「実際はどうなの?」と突っ込まれてしまう場合があるからです。

両方の理由を用意しておくことで

・「ポジティブな退職理由(~がやりたい)」と「ネガティブな退職理由(~が嫌だった)」を組み合わせて退職理由を話す

・「ポジティブな退職理由」を話した後に、もし面接官に深く追求されたら、「ネガティブな退職理由」を話して納得してもらう

の2パターンの使い方ができます。

ポジティブな退職理由の考え方

ポジティブな退職理由は、転職後自分が何をしたいかをアピールする手段になります。

自分がやりたいこと、成し遂げたいこと達成する為に転職をしたい、と話すことで、目標に向かって自ら行動し努力できることをアピールできるからです。

・今の仕事もやりがいはあるが、もっとスキルアップして成長する為に転職を決意した

・未経験の仕事ではあるが、どうしても挑戦してみたいという気持ちが強く、転職を決意した

・自分には~の方が向いており、力を発揮したいと思った

このように、自分を成長させたい、~に挑戦したい、といった前向きな理由を考えていきます。

ポジティブな転職理由を考える際の注意点は2つ

①面接をしている企業で叶えられることを話す

②退職してから3か月以上期間が空いてしまうと説得感がなくなる

ということです。

①面接をしている企業で叶えられることを話す

については、面接している企業で実現できそうな「~がしたい」を話すことが重要です。

例えば、ITサービスの販売しか行っていない企業で「新しいITのサービスを開発したいと思い転職を決意しました」なんて話をしたら「本当にうちの会社に転職したいのか?」と疑問に思われてしまいますよね。

求人票や企業のホームページを見て企業について知った上で、実現できそうな内容から退職理由を作っていくことが重要です。

②退職してから3か月以上期間が空いてしまうと説得感がなくなる

については、やりたいことがあって退職したはずなのに、しばらく無職の期間があると「やりたいことがあるっていうのは嘘なんじゃないか?」と疑われやすくなる可能性があります。

期間を3か月以上としたのは理由があり、転職にかかる期間が3か月位であることが一般的である為、退職から3か月以内であれば「退職してすぐ転職活動を始めましたがなかなか縁がなくて…」と言い訳することができるからです。

退職から期間が空いていても退職理由は考えられるので、具体例で詳しくご説明します。

ネガティブな退職理由

ネガティブな退職理由を考える際のポイントは、「それなら退職を考えてもしょうがない」と思わせられる妥当な理由かどうかです。

例えば、「ちょっと上司と気が合わなくて…」というのが退職理由だった場合どう感じますか?

「そんなことで退職するの?転職先でまた上司と気が合わなかったらまた退職するの?」と思ってしまいますよね。

「上司と気が合わない」という理由は「それなら辞めてもしょうがない」となかなか思われない為、妥当な退職理由とは言えません。

では「残業が月100時間あり、このままでは体を壊してしまうと感じた」という理由だったらどうでしょうか?

「そんな過酷な状況だったら、辞めて当然だ」と思うのではないでしょうか。

一般的な常識を持った企業であれば、「月100時間残業して体を壊す位なら辞めた方が良い」と考えるはずなので、妥当な退職理由と言えます。

注意点としては、どんなに妥当な理由だとしても、面接をしている企業で同じ状況になる可能性がある場合は不採用となる可能性があることです。

基本的に「残業が多い」という理由は、妥当な退職理由として受け入れられやすいのですが、面接する企業の残業時間を知っておく必要があります。

例えば、「毎月40時間残業があり、自分の体力的にきつかった」という退職理由を考えたとします。

残業20時間程度の企業であれば受け入れられますが、同じように残業が40時間ある企業では「うちの会社の業務に耐えられないから不採用」となる可能性は高いです。

面接している企業で同じような状況にはならないような理由を考えていきましょう。

また、休職してしまったことがばれないような理由を考えることも重要です。

具体例

続いて、実際に面接でも使える具体的な退職理由についてご紹介していきます。

面接で使う際は、面接を受ける企業や自分の状況でカスタマイズして使ってみてくださいね。

ポジティブな退職理由例

まずは、ポジティブな転職理由例です。

①興味を持った職種に挑戦する為に転職
<未経験業務:飲食業界からIT業界>への転職
副店長として、会社のシステムを使って売上報告やアルバイト社員の勤怠管理をしたことで「使っているシステムの仕組み」について興味を持ちました。
独学でシステム開発について勉強していく内に、どうしてもIT業界で働いてみたい、挑戦したい、という気持ちが強くなり、転職を決意しました。

②スキルアップを目指した転職
<経験業務:経理から経理>への転職
現在は1つの部を担当し、経理業務を行っています。自分のスキルを上げ、ステップアップしていきたい、という気持ちが強く、会社全体の経理業務がきる企業への転職を決意しました。

ポイント

上記2つの退職理由は、やりたいことがあって転職を決意しているので、退職から3か月以内の転職で使うことができます。

退職から期間が空いてしまった場合は、プラスで文言を付け加える必要があります。

退職から期間が空いてしまった場合に使える文言

①勉強期間
・興味を持ったシステム開発について勉強する為に退職しました。まずは3か月間オンラインスクールに通い、やはり自分のやりたいことはシステム開発だと実感した為、転職活動を行っています。
・手に職を付けたいと思い、職業訓練校に通うため仕事を退職しました。訓練校ではWEBデザインについて学び、仕事で実践を積んでスキルを付けたい、そのスキルで会社に貢献したいと考えWEBデザインの職種で転職活動を行っています。

②ワーキングホリデー、留学
・かねてからの夢であったワーキングホリデーに行く為、退職を決意しました。
・営業企画職への転職を目指して退職しましたが、せっかくの機会なので昔から興味のあったイタリアへ3か月短期留学をしました。

③自分への休暇(長くても退職から半年以内)
・前職が忙しく全く休みが取れなかった為、3か月間旅行に行ったり、ゆっくり休んだり、自分の趣味に没頭する時間を設けました。

ちなみに私は、退職から転職活動を始めるまで3か月程期間が空きましたが、③の文言を使いました。苦笑いする面接官もいましたが、意外と使えます。

ネガティブな退職理由例

続いて、ポジティブな退職理由を話した後、面接官に「実際どうなの?」などと突っ込まれてしまった場合に使える退職理由をご紹介します。

①残業が原因で退職
・毎月100時間以上の残業がある職場で、改善も試みましたが難しい状況でした。同僚が次々と体調を崩しているのも見ていたので、自分も潰れてしまう前に退職するしかないと感じました。

・会社の在籍年数が増えるごとに残業も増えていく職場で、先輩方が毎日終電まで残業して体調も崩している様子を見て、自分には正直耐えられないだろうと感じた為退職を決意しました。(現在の残業時間があまり多くない場合にも使えます。)

②パワハラが原因で退職した場合
前職が常に怒号が飛び交っているような職場で、売上が達成できない月は連帯責任として、全員が数時間説教を受ける、という職場でした。もう少し落ち着いた職場で働きたいと思い転職を決意しました。

ポイント

誰がどう見ても「前の会社はおかしい」と感じるような内容であることが重要です。

ネガティブな内容を話すので、暗くなってしまいがちですが、面接で話すときは適度に明るく話します。

あまり思い詰めたように話してしまうと「もしかしてこれが原因で体調崩したりしてない?」と疑われる可能性もあるからです。

ネガティブな退職理由+ポジティブな退職理由

最初からネガティブな退職理由とポジティブな退職理由を一緒に話す方法です。

真実味も増すので、一番おすすめの方法です。

①仕事内容が合わず退職

<未経験業務:営業から営業事務>への転職
営業をしている中で、売上を目標にガツガツと顧客に営業をかけるより、裏から人を支える業務にやりがいを感じるようになりました。
自分が一人で案件を獲得した時より、同僚のサポートで入った案件が獲得できた時の方が充実感を感じた程です。
営業経験者として、営業事務を目指しているのですが、前の会社では契約社員になるしか方法がなかった為、転職して正社員で営業事務を目指しています。

<経験業務:営業から営業>への転職
営業職の飛び込み営業を行ってきましたが、「相手の時間を奪ってしまっている」と考えてしまい、どうしても自分には合っていませんでした。
逆に、既存顧客への営業は、相手のニーズが分かるので求めていることを提案できる点が自分に合っていました。一番やりがいを感じている部分でもあったので、今後は既存顧客と強く繋がりを作れる営業になる為、転職を決意しました。

<経験業務:営業から営業>への転職
現在会社で担当しているモノを売る営業からサービスを売る営業になりたいと考えています。
モノを売る営業の場合、製品の良さよりも価格での競争となってしまい、営業としてのスキルアップに限界を感じた為、転職を決意しました。

②就業条件が合わず退職

<未経験業務:介護業から事務職>
前職の介護業では夜勤や12連勤などもあり、長く働く環境ではないと感じた為退職しました。
次に入社する会社で長く働きたいと考えており、以前から興味のあった事務職で転職活動を行っています。

<経験業務:開発から開発>
転職を考えたきっかけは給与面です。今の会社では、数少ない管理職のポジションになるまで給与が上がらない状態で、このままだと子どもを大学まで行かせてあげられない可能性があった為、転職を決意しました。
私は管理職としてメンバーを管理するより、開発者として現場で活躍する方が合っていると感じている為、さらにスキルアップを目指して会社に貢献していきたいです。

ポイント

ここでも、ネガティブな退職理由は面接官が納得できるようなものを選ぶことが重要です。

実際の退職理由が人間関係が原因、という方も多いかと思います。

しかし、退職理由を人間関係、としてしまうと面接官が納得する妥当な理由が作りにくいです。

・職場の人からいじめられた

・変な噂を流され、居場所がなくなった

・質問もできないようなギスギスした職場だった

・上司から仕事を教えられず、指示もなく放置された

など、本当に辛い経験をされて、100%相手が悪いと思われる状況なのですが、面接で話す退職理由としては適切ではありません。

どうしても「人のせいにしている」と捉えられがちな内容となってしまうからです。

実際の退職理由が人間関係の場合は、残業や仕事内容が合わなかった、という内容で退職理由を作っていくことがおすすめです。

私が実際使った退職理由

①人材サービス営業職の退職理由

<実際の退職理由>
・人材派遣の営業がもう嫌になった。
・派遣スタッフのよくわからない愚痴に付き合うのも限界。
・飛び込み営業も本当に嫌で、知らない所に急に電話したり、訪問するなんて相手に迷惑かけすぎ、効率悪すぎ。
・先輩がうざい。

<面接で話した退職理由>
新規開拓の飛び込み営業のような、何も考えずとにかく数をこなす、というのが自分には合っていませんでした。
既存顧客へ新しい提案をする際、事前にしっかりヒアリングして、データを分析して、提案内容を作り上げる作業にとてもやりがいを感じた為、そういった仕事をする為に転職を決意しました。

②広告の営業+事務職の退職理由(休職した)

<実際の退職理由>
・6か月休職したが、復職できる気がしなかった。
・毎日誰かがミスすると連帯責任で説教されるとかもう限界。
・お局様怖すぎ。質問とかしに行ける雰囲気がない。
・残業多すぎ。事前に申請しないと定時に帰れない。

<面接で話した退職理由>
正直、残業がかなり多かったことが原因です。
私はまだ入社1年目だったので、月40~50時間の残業で済んでいましたが、1年上の先輩方は毎日終電を逃してタクシーで帰っているような状況で…。
長く働ける環境ではないと考えた為、早めに退職することにしました。

※退職して転職活動を始めるまで3か月程空いていたので、ネガティブな退職理由だけにしました。

「転職活動をするまで何してたの?」と質問された際は

仕事が忙し過ぎたので、少しのんびりしていました。特に留学したりとか、学校に通ったり、とかはしていません。

と答えていました。

まとめ

退職理由

企業が退職理由を知りたがる理由と、具体的な退職理由の考え方についてご紹介しました。

企業が退職理由を知りたがる理由は同じような理由で自分の会社も辞めてしまわないか知る必要があるからです。

「うちの会社もすぐ辞めそう…」と思われてしまわないように、しっかりと納得感のある退職理由を準備していきましょう。

退職理由を人のせいにしたり、ちょっとしたことが嫌だった、と話してしまうと、面接官からの印象は下がってしまいます。

多少話を盛っても問題ないので、「その理由なら辞めてもしょうがない」と思われそうな理由を考えていきます。

面接において退職理由は審査項目の1つでしかありません。

志望動機、自己アピール、職歴の方が重要項目となりますので、退職理由は印象を下げない程度に話しておく、位の気持ちで大丈夫です。

私も休職したことは隠しつつ転職できています。

準備さえしっかりできれば誰でも転職はできますので、是非自信を持って面接に挑んでいただきたいです。

この記事が休職してから転職を考えている方に、少しでも不安解消に役立ちますことを願っております。