こちらの記事では、転職3回、人事職経験ありの私が、人事目線で人材紹介サービスと求人サイトの上手な利用方法をお伝えします。
転職する時に利用する人材紹介サービスや求人サイト。
人事となって知ったのが、どこから応募したかで選考の難易度が変わることでした。
ポイントは採用にいくらコストがかかるか、という点。
こちらの記事では、人事目線で見た人材紹介サービスと求人サイトの違い、この2つをどのように上手に利用するかを記載していきます。
人材紹介サービスと求人サイトのお金のしくみ
求職者側から見ると、「人材紹介サービス」「求人サイト」ともに無料で利用できるサービスです。
しかし、企業側から見ると「人材紹介サービス」と「求人サイト」はお金のかかり方が違います。
まずは人材紹介サービスから見ていきましょう。
人材紹介サービスのお金のしくみ
人材紹介サービスは成功報酬型です。
人材紹介会社に求人を依頼して、人を紹介してもらい、内定を出すところまでのサポートは無料。
内定者が内定承諾をして、入社が決定した時点でお金が発生します。
金額としては、内定者の想定年収(1年目の年収)の30%位が相場です。
内定者の想定年収が350万円だった場合の人材紹介料は105万円。
500万円だった場合の人材紹介料は150万円。
この人材紹介料が1人採用する際の採用コストとしてみられます。
特徴としては、成功報酬型なので、「この人物を採用すると、コストがいくらかかる」というのがはっきりわかる点です。
求人サイトのお金のしくみ
求人サイトの場合は、求人掲載依頼を出した時にお金がかかります。
どの求人サイトに掲載するか、期間やオプションによって金額は大きく変わり、数万~数十万円の金額です。
求人サイトの特徴は、何人採用しようと金額が変わらないところ。
20万円の求人掲載費を出して10人採用できれば採用コストは2万円/人。
20万円の求人掲載費を出して1人採用できれば採用コストは20万円/人。
採用できる人数によって採用コストが変動するのが求人サイトです。
また、必ず採用できる保証はないので、求人掲載費を払っても1人も採用できない可能性があります。
採用コストから考える選考難易度の違い
人材紹介サービスと求人サイトのお金の仕組みの違いについて説明してきました。
企業側としては一般的に、人は採用したいが、採用コストはできるだけ下げたいと考えます。
採用にかけられる予算を潤沢にもらえる企業ばかりではないですから…。
そこで注目すべきなのが採用コストから考える選考難易度の違いです。
人材紹介サービス、求人サイト、さらに、よく電車の広告で目にする求職フェアの3つを難易度の高い順から説明していきます。
人材紹介サービスの選考難易度
人材紹介サービスは成功報酬なので、人を取れば取る程お金がかかります。
しかも、年収の30%程を紹介料として支払う為、1人につき100万円~のコストが確定です。
この採用コストの違いによって変わってくるのが選考の難易度。
「企業が求める技術や経験を持っていて、人物的にも企業とマッチする人」は求人サイト、人材紹介関係なく選考通過します。
しかし、「人物的には良いが、経験が浅いor未経験」という人は人材紹介では選考に通過しにくくなる可能性があります。
なぜなら、「未経験ですぐには即戦力にならない人物」と「採用コスト100万円~」を天秤にかけるからです。
採用予算は決まっているので、この人が良い人かどうかより、100万円をかけるかどうか決めるのです。
私が人事をしていたときも「人材紹介じゃなければ採用なんだけどなー」という決裁者の話を何度も聞きました。
もちろん不採用の理由として予算の話を求職者にすることはありません。
このように人材紹介の選考難易度は高めです。
求人サイトの選考難易度
求人サイトについては掲載期間にもよりますが数万~数十万程度の掲載料で何人採用しようと金額は変わりません。
企業側としては採用コストをできるだけ下げたいので1回の求人で沢山の人を採用したいと考えます。
なので、人物面さえ企業と合えば、経験が浅かったり、未経験の人でも選考通過する可能性が高くなります。
人材紹介に比べると選考難易度が下がることがあるので、未経験、経験が浅い人は求人サイトをメインで活用しましょう。
転職フェアの選考難易度
転職フェアも求人サイトと同じように、成果に関係なく事前にお金を支払い、転職フェアに参加します。
求人サイトは数週間掲載求人を掲載できるのに対し、転職フェアは1回きり。
この1回で人を採用する必要があります。
その為、転職フェアで企業説明を聞いて、その後面接を希望すれば面接日程をその場で組んでくれる企業も多いです。
転職フェアで企業側に提示する職務経歴は簡易的な場合がほとんどなので、書類選考をとばして面接にいけると考えても良いでしょう。
なので、面接までたどり着く難易度は、転職フェアが一番低いです。
人材紹介サービスの上手な利用方法
採用難易度の違いも踏まえた上で、どのようにうまく活用していくかを記載していきます。
人材紹介サービスは、求人の紹介をして終わるのではなく、面接の調整や面接後のフォローなど、内定が決まるまでしっかりとサポートしてくれます。
もちろん利用料は無料なので、最初から最後までお金はかかりません。
おすすめの人材紹介サービスは
・マイナビエージェント※マイナビのプロモーションを含みます。
の2社。
知名度のある会社に求人は集まりやすいので、まずは大手に登録してみるのが良いです。
関連記事>>人材紹介サービスの登録は大手2社だけでOK!3回の転職で厳選した2社のおすすめポイントを紹介。
初めての転職こそ利用すべき人材紹介サービス
人材紹介サービスは求人紹介だけでなく、内定までのサポートをしてくれると記載しました。
特に初めて転職する人には人材紹介サービスは絶対おすすめです。
職務経歴書や履歴書の添削、面接練習、面接対策など無料でサポートしてくれるからです。
1対1の個別指導から、講義型の面接講座まで用意しているところもあるので、初めての転職でも準備万端で面接に臨めます。
幅広い求人紹介で視野を広げる
人材紹介サービスのメインは様々な求人を紹介してくれること。
希望した職種や業種だけでなく、自分がやりたいことを実現できそうな別の職種、業種も紹介してくれます。
例えば、「新卒や転職者のサポートをしたい」と人事を希望した場合、「サポート」という点に注目して別職種を紹介されます。
・転職者のサポート→人材紹介会社のキャリアアドバイザー
・学生のサポート→進学塾の学生サポート・事務
・営業のサポート→営業事務
・企業のサポート→求人広告雑誌の営業
など、(幅広く求人を希望した場合)最初の「人事」とは結構離れた「営業事務」や「営業」まで紹介してくれます。
詳しく求人を見てみると、興味のわく求人も結構あるので、幅広く紹介してもらう方がおすすめです。
メインで活用すべきは求人サイト
人材紹介サービスの手厚いサポートを紹介してきましたが、未経験だったり、経験が浅い場合にメインで活用すべきは求人サイトです。
求人サイトごとに出ている企業が違うので、いくつか登録しましょう。
沢山登録しても見切れないので、2つ~3つ位が丁度良いです。
・リクナビNEXT
・マイナビ
の2社は必ず登録しておきましょう。
なぜなら、知名度が高い求人サイトに企業は求人広告を出すからです。
「自分で求人を探す」という部分以外は、人材紹介を使った転職と手間は変わりません。
「ひたすら検索して応募」という流れを繰り返して転職活動を充実させましょう。
求人検索
求人サイトに登録したら、条件で絞って求人検索します。
あまり絞りすぎると求人数が少なくなってしまうので、絶対に譲れない条件のみ入れるのがおすすめです。
検索結果の企業詳細で「業務内容」と「条件(休日・給与など)」を見て少しでも気になったら即応募!
書類選考の時点で志望動機は考えず、とりあえず応募です。
たまに志望動機を記載しないと応募できない企業があるので、使い回せる文章を準備しておきましょう。
(本音:志望度が高い企業なら別ですが、書類選考を出すだけなのにそんなのいちいち考えてられません。
求人サイトのスカウト機能
求人サイトにはスカウト機能というものがあります。
サイトに職歴書を登録して、企業側に公開。企業が職歴を見てスカウトしてくる。というものです。
自分では検索しきれない求人は山ほどありますので、スカウト機能はONにしておきましょう。
転職エージェントからのメールは必ずOFFに!受信メールが多すぎてスカウト自体見なくなります。
スカウトメールにも各社種類があり、大きく分けると2つ。
①企業の紹介メール
わが社も求人出してるので応募してくださいね!というメール。
一応企業側も経歴で絞ってメールは出していますが、応募後の優遇は特になく、不合格もあり得ます。
②書類選考免除、面接へのご招待メール
企業側が是非面接に来てほしい!と直接オファーするメール。
書類選考免除なので、すぐに面接日程調整に入ります。
免除されるのは書類選考のみなので、面接結果によっては不合格もあり得ます。
人材紹介サービスと求人サイトの両方を使った転職活動
求人サイトをメインで利用することをおすすめしていますが、両方をうまく利用して転職活動をしていくのがおすすめです。
転職は流れが大事なので、時系列ごとにそれぞれの活用方法を記載していきます。
転職活動準備
①履歴書・職務経歴書作成
まずは自分で作ってみます。
②人材紹介サービス・求人サイト登録
人材紹介サービスは初回面談時に履歴書・職務経歴書を持って行くので、添削してもらいます。
③求人サイトに職歴追記
添削してもらい、パワーアップした職務経歴を求人サイトに登録します。
転職活動初期
①求人サイト検索
ひたすら条件で絞って求人検索→応募
②人材紹介サービス
初回は大量に求人を紹介されます。
こちらもひたすら求人内容を読む→応募 の流れです。
求人サイトのメイン活用をおすすめしていますが、人材紹介でも気になるところは応募しましょう。
③人材紹介サービスの面接講座
無料で開設されています。時間に余裕があれば是非受けてみましょう。
転職活動中期
①面接準備、面接実施
求人サイトや人材紹介サービスで書類通過した企業との面接です。
現職が忙しくても、最低限の準備は必須です。(企業概要を見ておく、志望動機を考える)
②求人サイト検索
面接が決まっても、引き続き求人検索→応募を行います。
③人材紹介サービス
同じく、引き続き紹介された求人をチェック→応募を行います。
転職活動後期
①最終面接実施、内定
②求人サイト検索
最終選考が残念ながら…の場合もあるので、引き続き求人検索→応募は行います。
②人材紹介サービス
引き続き紹介された求人をチェック→応募を行います。
転職初期、中期程多くの求人は紹介されなくなります。
③人材紹介サービスの面接対策
最終選考前に企業の面接傾向などを教えてくれたり、1対1の面接対策をしてくれる場合があります。
しっかり活用して最終選考に臨みましょう。
人材紹介と求人サイト、両方上手に利用できると転職活動も充実してきます。
ただ、人材紹介は担当が付くため必ず急かされます。
・2日以内に書類応募するかどうか連絡してください!
・早めに決めないと他の候補者に決まってしまうかも!
・早めに連絡して志望度アピールすべき! など。
この急かしに焦ってしまうと、人材紹介の対応でいっぱいいっぱいになり、求人サイトが見れなくなります。(経験済み)
人材紹介の対応については、面接調整だけ早めに連絡できれば良いのかなと思います。
書類選考は求人サイト優先で応募し、人材紹介対応がメインにならないように注意が必要です。
両方を上手に使って、充実した転職活動ができるきっかけとなったら嬉しいです。