派遣の給与を上げる方法ー派遣の仕組みを知って、うまく交渉するには?

  • 2019-10-05
  • 2023-12-27
  • 派遣

こちらの記事は、元派遣営業が考える「派遣の給与を上げる方法」について記載していきます。

派遣の給与、なかなか上がらないですよね。

担当営業との面談時に

女性派遣スタッフ
時給上がりませんか?

と相談しても、

男性担当営業
難しいですね~

と返されて終わってしまっていませんか?

残念ながら「いつも頑張ってくれているから!」という理由では時給は上がりません。

なぜなら、

派遣先からすると、「派遣料金は会社の経費」で、派遣会社からすると「派遣社員の給与」が会社の経費だからです。

しかし、時給があがる希望がないわけではありません。

時給が上がる条件は?

交渉の仕方は?

元派遣営業の私が営業目線で時給を上げる方法をお伝えしていきます。

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派遣の時給が上がる仕組み

まずは基本的な派遣料金の仕組みから説明していきます。

基本の仕組み

派遣会社は派遣先から料金をもらい、マージン(仲介料)を引いた額を派遣スタッフの給与として支給しています。

仮に派遣料金を3,000円とし、マージンが30%だった場合の給与は2,100円です。

マージン率については派遣会社ごとにも違ってきますが、大体30%が平均です。

 

派遣社員には、人事評価で給料が上がったり、自動昇給で毎年給与が上がる、と言った制度はありません。

では、どのように時給が上がるのでしょうか?

派遣の時給を上げる方法は2つ。

①派遣先からの料金を上げる

派遣先の料金アップ

派遣先からの派遣料金が上がると、給与もアップするパターンです。

途中で派遣会社が仲介する為、どれくらい料金が上がったかは明示されませんが、今までと同等のマージン率で給与に還元される場合が多いです。

②派遣会社のマージンを下げる

派遣会社のマージンを下げる

派遣先からの料金は変わらず、派遣会社がマージンを下げて、派遣スタッフの給与をアップさせるパターンです。

マージン率によって、決裁者が変わる為、マージンが低ければ低い程、承認が難しくなります。

例えば…
営業の権限:マージン率~30%まで
営業課長の決裁が必要:マージン率29%~25%まで
営業部長の決裁が必要:マージン率25%~20%まで
役員の決裁が必要:マージン率19%~15%まで
このような形で派遣会社ごとにルール化されています。
派遣会社のマージンは、会社の利益だけでなく、派遣スタッフの健康保険料や厚生年金、福利厚生の資金でもある為、
「マージンが低ければ良い」というわけではありません。
マージンが減ると派遣会社の取り分が減るわけですが、派遣スタッフを引き留める為の手法の1つでもあります。

派遣の時給を上げる方法

それではいよいよ給与を上げる方法です。

条件にもよりますが、時給を上げる方法を3つ紹介していきます。

①業務内容が増えたことによる時給UP

※「業務量」ではありません。

本来、契約書に書いてある業務以外を指示することはできません。

派遣先の方で業務を増やしたい場合は派遣会社を通してスタッフに相談がいきます。

相談の流れ

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派遣先から派遣の担当営業に業務を増やしたいと依頼→営業から派遣スタッフに業務を増やして良いか相談

という流れです。

どうしても無理、やりたくない、という内容であれば断ることもできます。

(新しい業務ができないことを理由に、次回契約期間満了で終了、という可能性も0ではないので慎重に。)

OKを出せば、営業から派遣先に報告され、新しい業務が始まります。

このような業務追加の話が出た際が時給交渉のチャンスです!

交渉方法

担当営業から業務追加の話が出た際の交渉の仕方としては、

男性担当営業
○○の業務もやってもらいたいそうですが、良いですか?

と言われたら、

女性派遣スタッフ
時給上げてもらえるなら頑張ります。
など、業務は了承するけれど、時給を上げて欲しいことをはっきりと伝えましょう。
派遣営業は派遣スタッフからの時給交渉には慣れています。
要望を伝えることで対応・待遇が変わることはありませんので、自分の意思をはっきり伝えることが大事です。
(もし了承したくない仕事なら、はっきりとやりたくないことを伝えましょう)
派遣先企業がきちんと派遣法を理解し、正式な手順を踏んで業務が増えるパターンを紹介しましたが、

実際現場で派遣法について理解されている方は少なく、契約外の業務を現場で頼まれることも多々あります。

(もちろん、契約外の業務については拒否しても問題ありません)

頼まれた業務が契約外の仕事で、ある程度ボリュームがあれば時給交渉可能です。

確認方法

契約書に書いてある「業務内容」を見てみましょう。

現在契約している業務内容が表記されているはずです。

表記内容以外で実施している業務はありませんか?

例えば…
【契約書】OA事務業務:受発注業務、電話応対
【実業務】OA事務業務:受発注業務、電話応対+秘書業務:社長・役員のスケジュール調整等

<例>のような「OA事務」と「秘書」など、契約書に記載してある業務内容とジャンルの違う業務であれば、交渉材料にしやすいです。

交渉準備と方法

普段どのような業務を行っているか洗い出し、それぞれどれくらいの時間がかかっているか書き出します。

・契約内の仕事と契約外の仕事の比率がわかるように月何時間とか週何時間という書き方がわかりやすいです。
・実業務をする為に必要な準備時間も入れます。

契約内の仕事に対して、契約外の仕事をどれだけやっているか可視化できるようになったら、担当営業と交渉です。

交渉のポイント

・契約書の内容と、実務の状況に差があること

・業務は現状のまま続けるために、契約書と時給に反映してほしいこと

 

担当営業の方で、

①派遣先に交渉して派遣料金を上げられそう

②上司に交渉してマージンを下げることで時給を上げられそう

2つのうちどちらかが実現できる可能性がある、と判断されれば一旦持ち帰りになります。

担当営業一人で判断できる事柄ではない為です。

どう頑張っても交渉が難しそうな内容の場合は、その場で判断されるかもしれません。

例えば…
・資料作成の種類が増えた(今までと使うシステム・難易度は同じ)
・契約書に「社員のサポート全般」と記載があり、増えた業務が「サポート全般」に含まれるような内容である

②ポジションが変わることによる時給アップ

こちらは、派遣社員が多くいる部署で、派遣社員がリーダーも務めているような部署の場合です。

データ入力業務のポジションで例えると、

<業務担当>マニュアル通りにデータを入力

<副リーダー>データ入力業務のイレギュラー対応とマニュアル作成

<リーダー>業務の進捗確認、新しいデータ入力業務の組み立て(マニュアル作成の仕方、業務の割り振りなど)
※SV(スーパーバイザー)と呼ばれることも。

このように業務の階層分けをすることができます。

業務担当・副リーダー・リーダー全て派遣社員が担当している場合、業務の難易度によって時給が変わります。

(業務担当は時給1,300円、副リーダーは時給1,500円、リーダーは時給2,000円など。)

大きな職場であれば、ステップアップの条件等もきちんと定められている為、営業担当にしっかりと確認しておきましょう。

<確認しておくと良い事項>
・具体的なステップアップの条件(どの業務ができれば上がるか)
・ステップアップするまでの平均的な時間
★ステップアップの実績(他に時給を上げられた人がいるかどうか)←重要です。
条件が定められていても実績がなければ時給アップは望めない可能性があります。

また、担当営業に自分が何を目指しているかアピールしておくことも大事です。(副リーダーを目指している等)

③最終手段‐「時給が上がらないなら辞めます」

こちらはかなりリスクもあるので、最終手段として使ってください。

業務が増えたり、ポジションが上がったりする見込がない場合、なかなか時給アップの交渉をするのは困難です。

それでもどうしても時給を上げたい場合、最終手段として「時給が上がらないなら辞めます」という一言が効果がある場合があります。

効果が出る条件は【後任の派遣社員を派遣先に紹介できるかどうか】です。

新しく後任を紹介できる状況の場合は全く効果がなく、むしろ、契約満了で自主退社となってしまう可能性があるので、気を付けましょう。

人気の職種(事務など)や人気の場所(駅直結・最寄り駅徒歩5分以内)、人気の企業(有名大手)は応募者が多い為、派遣社員が辞めてしまっても後任を紹介できる場合が多いです。

逆の条件であれば後任を探すことがなかなか難しく、現在の派遣社員を引き留めるため、派遣会社のマージンを減らして給与を上げてもらえる可能性があります。

・人不足の職種(プログラマーなど経験を要する業務)
・派遣先の要求が高い(経験年数5年以上、資格所有者など)
・通勤方法が限られている(車通勤、最寄り駅からシャトルバス、都心から離れた地域など)

この方法は、派遣会社のマージンを下げる方法を取る為、「派遣社員が辞め、後任を紹介できないことでどれだけ会社に損害があるか」が焦点となります。

担当営業とその上司との交渉の中で、「マージンを下げること」と「後任が紹介できないかもしれないリスク」を天秤にかけますが、現在の市場感によっても変わってくるので、慎重に実行された方が良いです。

市場感の簡単な見方
派遣求人や転職求人を見て、求人数が多い職種は人手不足の場合が多いです。
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現在の職場を変えて給与を上げる方法

現在の職場にこだわらず、派遣先や職種を変えたり、転職することで給与を上げることもできます。

①派遣先を変える

派遣先によって時給も様々ですが、地域差も大きい為、働く地域を変える方法もあります。

例えば、

東京23区のオフィスワーク:平均1,663円(2019年10月時点)

埼玉県のオフィスワーク:平均1,378円(2019年10月時点)

栃木県のオフィスワーク:平均1,277円(2019年10月時点)

リクナビ派遣:平均時給チェックより

このように同じ関東でもかなり差があります。

時給の高い地域で働くのもひとつです。

②職種を変える

派遣は職種によって大きく時給が変わるのも特徴の一つです。

事務 ・書類作成】1,450円~1,650円
【販売・接客 ・カウンターでの接客業務】1,300円~1,500円
【IT・デザイン ・システムエンジニア】1,600円~1,800円
【物流・整備 ・工場での軽作業】1,100円~1,300円
【テレマーケティング】1,300円~1,600円
【翻訳・通訳】 1,650円~2,500円
【秘書】1,600円~1,800円


JOBNETbyManpowergroup:派遣社員の時給はどれくらい?業種ごとの時給と仕事内容を比較

経験が浅かったり、未経験でもできる職種(事務、接客、テレマーケティングなど)に対して

経験や知識が必須の職種(ITや翻訳)は時給が高くなります。

この中で狙い目なのがIT職種。

ここ数年急激にIT化が進み、常に人不足の業界です。

深く知識や経験のある人材採用は難しい為、「経験が浅い」「学校に通っただけ」という職歴でも採用される傾向にあります。

現在は通学しなくとも自宅で学べる学校も数多くある為、仕事をしながら学ぶこともできます。

思い切って学校に通って知識を付け、「IT系職種で給与を上げる」のも夢ではありません。かなり現実的な選択肢です。

時給を上げる為には

派遣社員の時給が上がる仕組み、時給を上げる方法、交渉の仕方について記載してきました。

正直、どれも簡単な方法ではありませんし、絶対に時給が上がるとは断言できません。

自分で準備して交渉したり、最終的には派遣会社に委ねる為、運任せな部分もあります。

それでも、やってみないと結果はわかりません。

担当営業から「時給上げましょうか?」なんて絶対に言ってこないので、自分から行動するしかないのです。

行動したことでマイナスになることはほぼない(「時給上がらないなら辞めます」だけはリスクあるので気を付けてくださいね)ので、

まずは自身がどうしたいか気持ちをはっきりさせると良いと思います。

気持ちが固まれば、あとは行動するのみです。

この記事が少しでも何かのきっかけになったら嬉しいです。